2016.08.09

“100年後のうるまを創る”を掲げるプロモーションうるま、その仕掛人に聞く未来をつくる”まちづくり”とは?


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地方創生」という言葉を聞いたことありませんか? 都市の一極集中型から各地方の特性を生かして地域を盛り上げていく。地方の過疎化や失業率に歯止めをかける政策として、2年ほど前からテレビのニュースや新聞などで見聞きするようになりました。

でも、自分の住む地域でどんな取り組みがされているのか知らない人も多いはず。沖縄県内では離島をはじめ各市町村でユニークな地域づくりが盛んになってきています。さて、いったいどんな取り組みがされているのか、ちょっと覗いてみましょう。

今回は、沖縄県中部のうるま市に拠点を置く「プロモーションうるま」が実践している”地域づくり“について、代表理事の中村薫(なかむらかおる)さんに伺ってきました。

 

ー「プロモーションうるま」っていったいどんな組織なんですか?

中村:ズバリ、「まちづくり会社」です! コンセプトは「100年後のうるまを創る」、それを念頭において活動しています。もちろん自分たちは100年後には生きていません(笑)。でも、常に「100年後でも通用するような」先々のビジョンを見据えて現状の問題に取り組んで地域の人々と共に解決していくことを心がけています。

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(左から石川ゆうこ、眞榮里良人、下門里織、中村薫、竹田亜里沙、森屋悠希、仲宗根多恵美)

ープロモーションうるまのメンバーにはどんな方々が集まっていますか?

中村:まず、組織の上層部には市内の観光物産協会、商工会、県内の大学教授、ホテル観光コンサルタントの方々が理事として参加しています。実働スタッフは様々な職種経験をもつ県内出身者ばかりで地域の人たちとともに仕事に取り組んでいる元気のいいスタッフたちです。地域を愛して行動するからこそ成り立っている組織です。

ー「まちづくり」って一体どんなことをしているんですか?

中村:私たちが手掛けていることは、うるま市のなかでも海中道路を渡った島々(平安座島(へんざじま)、浜比嘉島(はまひがじま)、宮城島(みやぎじま)、伊計島(いけいじま))をメインに地域資源を活用した観光プログラムの開発や地域の特産品を使った商品開発、イベントプロデュースを行っています。

例えば、津堅にんじんを使ったスイーツ「津堅にんじんロール」の開発では、形や見た目で規格外とされて処分されていたにんじんを活用しています。うるま市のケーキ屋さんに素材の良さが引き立つレシピ考案をお願いし、デザインも地元デザイン事務所に依頼。ローカル(田舎らしさ)×クリエイティブという「オールうるま」で作り上げた一品です。

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また、浜比嘉島で獲れた「台湾ガザミ」というカニを使って、浜の食堂にメニューを考えてもらった「かにもずくてんぷら」は、ここ最近のヒット商品。このレシピを担当したオバちゃんのキャラクターがまた最高なんです。素材の良さだけでなく地元の方のアイデアや人柄、実はそこに成功する要素が隠れていたりします。

開発した商品はポスターやのぼり、動画制作など必ず、複数のメディアで発信していきます。

ほかにも市内特産品の「もずく」「津堅にんじん」「黄金芋(おうごんいも)」を使って、地域のパン屋さんとコラボした「島ぱん」シリーズをリリースしました。個性豊かなパン屋さん達が地元食材で新しいパンを作ることで、店舗間や生産者とのつながりが生まれ、これまでになかった新しいご当地商品が出来上がりました。

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食品以外だと島々を舞台にユニークなイベントをプロデュースしています。沖縄の現代の暮らしに寄り添う工藝品を集めたクラフト展や、消え行く伝統文化の再来を願う島あしびイベントなど、島の人たちとさまざまな課題を見据えながら進めています。

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ー地域との関わりについて、もう少し教えて下さい。地域の素材をどうやって引き出しているんですか?

中村:素材そのものの、本質的な価値をしっかりと見出した上で表現していきます。味であったり、生産量であったり、作り手の想いだったり。

ーでは、地域を盛り上げる秘訣はズバリ何だとお考えですか??

中村:それは……もう徹底的なコミュニケーションしかありません(笑)、それと、その土地らしい地域ブランディングです。日本の人口減少の中でも、島の過疎化、失業率、高齢化は特に深刻な状態に陥っています。そして島は閉鎖的な環境です。みなさん様々な想いを持っているので、何をするにも一つひとつ丁寧に説明して話し合いをしていく。時にはバチバチと火花が飛ぶようなやりとりが必要なときもある。

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だから、お互いの意見を持ち寄って徹底的に掘り下げてみる。すると、自分たちの考える理想と島の人たちの想いが重なり合う部分が、少しずつ見えてくる。そこを切り口に問題をひとつずつ解決していくようにしています。

まちづくりは、ひとづくりから始まります。人が繋がることで島の未来につながり新たな価値を作り出していく。そう信じて地域と寄り添いながら共に歩んでいます。

ーうるま市の旨いものはなんですか??

中村:「もずく」「津堅にんじん」「黄金芋」です!他にもたくさんありますが、まずはこの3つの素材を是非味わってほしいです。

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ー最後にファミマガを読んでいる読者へのメッセージをお願いします!

中村:今一度、自分の住んでいる地域を見つめ直してほしい。なぜそこに人が住みはじめたのか。そしてどんな文化があるのか。僕が企業に勤めていた頃、沖縄の物産を広めるために日本全国をかけ回っていました。

県外の人たちとの会話の中で工芸や食文化、芸能など、自分にとっては当たり前なものが、県外の人には「沖縄の独自性」として魅力的に映っている。そんなシーンを何度も目の当たりにしました。そこではじめて自分が扱っているものが「面白い」「素晴らしい」ものなんだと実感しました。

どんな町にも今まで積み重なっていった物語が必ずあります。でも、身近な物事の良さは気づきにくい。だから常に客観性を持つことが必要だと強く感じます。まずは「己を知る」「足元をきちんとみる」。これが第一歩だと思います。情報が溢れる社会で目の前のことに翻弄されてしまうこともあります。そんな時こそ、一度自分の足元を確認することをオススメします。

最後に、プロモーションうるまが企画している宮城島のイベント「たかはなり・島あしび」をご紹介させてください。

かつてはエイサーや「ウシデーク」と呼ばれる女性の演舞などの伝統芸能で盛んだった宮城島。その文化を復活させるために島の人たちが中心になって始まったイベントです。県外からのエイサーを招き、地元のエイサーとのコラボ「道ジュネー」や、ウシデークなど見どころたくさんあります。真夏の夜の島あしび、お楽しみに!

 

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この夏、よみがえる一夜限りの「うるま」の島あしび
島のエイサーと県外のエイサーの夢のコラボレーション

【第二回 たかはなり・島あしび ~りかりか真夏の宮城島~】

日 時:平成28年8月20日(土) 
場 所:旧宮城中学校敷地内 (うるま市与那城宮城537)
料 金:入場無料  
主 催:たかはなり・島あしび実行委員会、一社)プロモーションうるま
問合せ:プロモーションうるま TEL098-923-5995 (担当・石川)


【プロフィール】

中村薫(一般社団法人プロモーションうるま代表理事)

うるま市在住。2012年に発足した「うるま市地域雇用創造協議会」のメンバーとなる。2014年に一般社団法人プロモーションうるま設立、2016年代表理事に就任。地域の雇用問題、過疎化問題、1次産業支援、移住推進、空き家利用などさまざまなアプローチで「まちづくり」を支援している。

一般社団法人プロモーションうるま
[住所] 〒904-2213 沖縄県うるま市字田場1304-1
[電話]098-923-5995

 

ライター:monobox株式会社(河野哲昌・こずえ)
HP:http://www.monobox.jp/


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