2016.07.25

子どもと一緒に舞台が楽しもう!「りっかりっか*フェスタ」が親子に伝えたいメッセージ


みなさん、はじめまして。読谷村にあるお母さんのための出版社・絵本スタジオアコークロー・ワークショップ担当のMEGUです。

私は沖縄に暮らしはじめて10年。大学時代からこどもワークショップをつくる活動を続けています。出産をきっかけに、お母さんという日常の大変さや充実さを感じています。週刊ファミマガでは、母親目線で、日頃の気になること、子育てに役立つ情報をお送りしていきたいと思います。今回は親子で楽しめるイベント「りっかりっか*フェスタ」をご紹介します。

7月25日から7月31日に那覇で開催される国際児童・青少年演劇フェスティバル(りっかりっか*フェスタ)は、2005年より毎年夏に沖縄で開催されているファミリー向けの国際舞台芸術フェスティバルです。

日本だけでなく、スペインやフランスなど、毎年世界中から約30のすぐれた舞台作品を招待し上演されます。小さなスペースでじっくりと鑑賞する作品、空気や匂いを感じながら楽しめる野外作品、お腹をかかえて大声で笑える作品などその種類は様々。

ジェスチャーや表情など言語以外の要素によるやり取りが主なノンハーバル作品もあり、0歳から親子で楽しめフェスティバルになっています。なぜ、このような世界的な演劇フェスティバルがここ沖縄で行なわれてようになったのか。演劇の魅力と今年のみどころを総合プロデューサーである下山久(しもやまひさし)さんに教えて頂きました。

 

演劇が子どもたちへ伝えるメッセージとは?

わかったさんのクッキー

下山:児童演劇は、おはなしの中で子どもたちへのメッセージがたくさん詰まっています。子どもたちにまつわる環境が悪化している今だからこそ演劇は必要だと考えています。

今、沖縄では共働きの家庭が増え、十分に両親とコミュニケーションがとれない子どもが多い現実があります。夢を持ちにくい環境に沖縄の子ども達は立たされているのかもしれません。

こんな時代だからこそ、演劇をみて「人間って素敵なんだ」「僕も頑張ればこんなことできるんだな」というメッセージを送るとともに、舞台をみて少しでも元気になってもらい、将来にむけて何か自分の目標をしっかりと持つきっかけになってほしいと考えています。

子どもたちは、大人以上に真っ白なので私たちのメッセージが届くと信じています。感性が豊かな小さい時期にこそ、演劇をみて湧き出る喜びを体験してほしいですね。

 

家族で楽しむ演劇の魅力ってどんなこと?

黄色いクツ下の夢

下山:りっかりっか*フェスタは、1日に何本も作品が観れるようなスケジュールを作っています。写真は2歳からみることができる「黄色いクツ下の夢」。こちらの作品は、ノンハーバルで言葉ではなく動作や音などを通してお話が進みます。

小さいお子さん連れの親子も一緒になって鑑賞することができる作品が多いのもりっかりっか*フェスタの特徴です。なぜなら、私たちは親子で一緒になって感動体験をしてもらうことを1番の目的としてます。演劇を観たあとに親子の会話の中で、「なぜ、あの人は泣いたの?なんであの人は死ななければいけなかったの?」という疑問を子どもたちとその家族で一緒に感じてほしいからです。

以前、バレエをみたあとに子どもがバレリーナー真似をして踊りながら帰る姿を観たときに、とても温かい気持ちになりました。感性がいろいろな形で伝わっている瞬間でした。実は感性も言葉と同じで感性をつくる経験が必要です。

例えば、生まれた赤ちゃんはおっぱいやミルクを飲ませたら成長しますが、一切会話をしなかったら言葉を獲得しません。だから、お父さんお母さんは一生懸命赤ちゃんに反応するように必死に話しかけます。言葉のシャワーを毎日浴びるなかで「まんま~、はっぱ~」などの言葉を獲得して、だんだん生意気になっていき「僕はお母さんが嫌いだ」と反抗的な言葉をいいだし、「なんで?どうして?」と言葉を通して他者を理解するようになっていきます。

感性も同じ。生まれたときの真っ白な世界から、お母さんと一緒にいて嬉しい。お友達と一緒にいて楽しい。嫌なことをされて悲しい。など嬉しいこと、悲しいこと、怖いこと、悔しいこと、理不尽なことをいっぱい感じて自分の心の気持ちを育てる経験が必要です。そのような経験は相手のことを思いやること、自分の気持ちを信じることを育みます。感性の経験を積み重ねることで豊かな人生になっていくでしょう。

 

今年のりっかりっか*フェスタの魅力は?

月にむかって

下山:今年度のりっかりっか*フェスタの魅力は「ベルギーフォーカス」です。今年は日本とベルギーの友好150年の記念年で、ベルギーで実際に観た5つの作品を選んで持ってきました。(※上記はその中の一つ「月に向かって」という作品の一コマ)

今年の準備をするために昨年の12月に現地で打ち合わせをしたあと、2月にベルギーの首都ブリュッセルでテロがありました。私はベルギーの劇団が沖縄に来るのは難しいのではないかとても心配しました。そこでもう一度4月にベルギーに足を運んで直接話しを聞きました。その時、ベルギーの劇団は「このテロで親しい人が亡くなったりもしたが、子どもたちのために何ができるかということをきちんとやりたい。そのためにアジアにいってお芝居します。」と力強い言葉で伝えてくれました。

私はこの言葉をうけて、今年はベルギーフォーカスを通して、アジアの人たち、世界の人たち、そして子どもたちと一緒に「平和ってなんだろう」と考えるきっかけにしましょうと誓ったのです。世界中の演劇を直接体験することで、多様的な視点を育めることができると考えています。多彩な視点を持つことが、平和を考えることに繋がるのではないでしょうか。

 

演劇が教えてくれることはどんなこと?

  • yamashita
  • gujiguji

下山:私たちは一時物質的な反映で幸せを求めていきました。高度経済成長が終わって久しく経った今、”物の豊かさが人間の幸せの豊かさではない”と強く感じてきました。何が一番幸せかということを考え直すと、自分たちがもっている創造力で人間と人間が助け合ってよりよい社会を作っていくことが私たちの幸せにつながっていく。そんなことを演劇で子どもたちが直に感じ、ワークショップを通してコミュニケーション能力を高めていくことができたら素敵だと感じています。
演劇は人生の疑似体験です。ぜひ、家族で感動体験をしに足を運んで欲しいですね。


取材協力
りっかりっか*フェスタ2016
[日時]2016年7月25日(月)〜31日(日)
[場所]沖縄県那覇新都心 フェスティバル特設会場(おもろまち周辺)
[HP]:http://2016.nuchigusui-fest.com(チケットの購入はこちらから)

 

ライター:「絵本スタジオアコークロー」遊びデザイナーあさとめぐみ
HP:http://www.akokuro.com