2024.09.19

いくつ知ってる?沖縄の珍しい苗字&地名をご紹介!




早速ですがクイズです!次のうち、沖縄特有の苗字はどれでしょう?

①山田
②佐藤
③大工廻

答えはこちら▼
正解は「③大工廻(たくえ)」!
大工廻(たくえ)の他に「らくじゃく」「だくじゃく」という読み方も。
旧琉球である沖縄、越来間切大工廻が起源と言われています。 大工職のいる町が語源だと言われています。

沖縄には他県ではあまり見かけない、ユニークで個性あふれる苗字や地名が数多く存在します。
その名前には、沖縄の豊かな歴史や文化、そして自然環境が色濃く反映されています。

本記事では、沖縄ならではの珍しい苗字や地名をご紹介!

9月19日は「苗字の日」

日本で「苗字」を名乗るようになったのはいつ?

日本では、明治維新後に新政府が四民平等の社会を実現するため、平民に苗字を公称することを許可しました。これが1870年9月19日に発表された「平民苗字許可令」です。現代で9月19日が「苗字の日」とされているのは、この日に由来しています。

しかし、許可令公布当時、苗字の届け出は円滑に進まなかったと言われています。明確な理由は定かではありませんが、「(苗字を名乗ることで)税金を多く取られてしまうのではないか」という平民の警戒心も要因の一つではないかと推測されています。


写真:国立公文書館デジタルアーカイブ「平民苗字許可令(平民苗字ヲ許ス)」

どうにかして苗字の届け出を促進したい明治政府は、1875年2月13日に、苗字の使用を義務づける「苗字必称義務令」を発表し、全国民に苗字を名乗ることを義務づけました。

布告令には「これからは必ず苗字を名乗りなさい。祖先以来の苗字が分からない者は、新たに苗字をつけなさい」と記されています。義務令を受けた国民は、寺に頼み込んで苗字を名付けてもらったり、役場総がかりで全世帯の苗字を作ったという例も記録されており、苗字公称の強制は各方面に混乱をもたらしたと言われています。

沖縄の苗字や地名は珍しい?

沖縄で一般の人が苗字を持ったのは、「平民苗字許可令」から数年後、日本に併合された後だと言われています。

日本本土とは異なる歴史と文化を持つ沖縄では、その独自性は苗字や地名にも色濃く反映されています。特に、琉球王国時代からの名残が強く、当時の文化や制度に由来するものが多いと言われています。現在でも珍しい苗字や地名が数多く存在していますが、これらの名称には地域の歴史や風土が込められており、独特な漢字や読み方も沖縄ならではの特徴です。


写真:NO MARK Inc.

珍しい沖縄の苗字&地名5選

長く沖縄に住んでいても、意外と読めない苗字や地名…。
その中でも珍しい・難しい読み方の苗字や地名をご紹介!

我那覇



一発目はこちら!沖縄の地名・苗字の中でも比較的読みやすいのではないでしょうか?
読み方は我那覇(がなは)です。沖縄県豊見城市我那覇が発祥と言われており、琉球王国時代に記録のある地名で、苗字にもなっています。琉球音は「ガナファ」で、「小さな漁場」が語源なのだとか。

仲程



こちらもまだまだ読めるのではないでしょうか。読み方は仲程(なかほど)です。
沖縄県大里村がルーツと言われており、語源は「道のりの中程」を指すという説や、「”仲”は村や集落の中央、”程”はその近くという意味が含まれ、集落の中心に位置する者が名乗った」など諸説あります。集落制度や地理的な配置に由来する苗字であり、琉球王国時代の社会的な構造とも関連が深いと考えられています。

仲村渠



急に雲行きが怪しくなってきましたね。
思わず「なかむら…?」と読みたくなりますが、読み方は仲村渠(なかんだかり)です。
沖縄県南城市玉城仲村渠(または沖縄県島尻郡久米島町仲村渠)が発祥と言われています。琉球王国時代に記録のある地名で、苗字にもなっています。琉球音も「ナカンダカリ」。地名は「仲村別れ」からで、「仲村の分村」の意味を持つのだとか。

喜屋武



ここまで来たら、どうにか気合いで読めそうな喜屋武(きゃん)
沖縄を舞台にした、とある漫画のヒロインの苗字にもなっています。
沖縄県糸満市喜屋武(または沖縄県うるま市喜屋武)が発祥と言われており、琉球王国時代に記録のある地名で、苗字にもなっています。琉球音は「チャン」。語源は「島の最南端」という意味からきているのだそう。沖縄県以外にも、大阪府や鹿児島県などにも見られる苗字なのだとか。

保栄茂



沖縄の苗字・地名の中でもトップクラスに難読であろうこちらは、保栄茂(びん)と読みます。
漢字は3文字、読みは2文字。驚きの読み方ですよね。沖縄県豊見城市保栄茂が発祥と言われています。諸説ありますが、沖縄の古代歌謡集「おもろそうし」によると、保栄茂は平仮名で「ほへむ」と記されているそうです。後に「保栄茂(ぼえも・ほえも)」と漢字表記し、沖縄風に訛って「びん」と読むようになったのだとか。


写真:NO MARK Inc.

難読!沖縄ファミリーマート店名クイズ

沖縄県内各地にある沖縄ファミリーマートですが、中には珍しい&難読な店名も。
「ファミリーマート●●●店」の読み方を考えてみましょう!みなさんはいくつ読めますか?

ファミリーマート久米西武門店

①にしぶもん
②せいぶじょう
③にしんじょう

答えはこちら▼
正解は「③にしんじょう」。
西武門という地名は当て字と言われており、「北にある大通りの入り口」を意味するのだとか。
「西なのに北?」と疑問を持つかもしれませんが、沖縄の方言で東西南北を表すと、東(あがり)・西(いり)・南(ふぇー)・北(にし)と読みます。

ファミリーマート北中喜舎場店

①きしゃじょう
②きしゃば
③きっさば

答えはこちら▼
正解は「②きしゃば」。
北中城村(きたなかぐすくそん)にある地名で、村の創建者である喜舎場公(きしゃばこう)が由来となっているそうです。ちなみに、ファミリーマート北中喜舎場店から車で3分程度の場所にある喜舎場公園には、喜舎場公のお墓があります。

ファミリーマート北谷桃原店

①ももはら
②とうばら
③とうばる

答えはこちら▼
正解は「③とうばる」。
漢字だけ見ると「桃の畑のことかな?」と思いがちですが、そうではありません。
由来については諸説ありますが、沖縄では、小高く平らな土地を「トー」と呼び、その耕作地(原)だった場所が「トーバル」と呼ばれ、そこを「桃原」と漢字で表記したと言われています。

ファミリーマート恩納冨着店

①ふちゃく
②とちゃく
③ふぎ

答えはこちら▼
正解は「①ふちゃく」。
冨着は恩納村の中南部に位置する地名です。かつては富津喜と書いて「ふぢち」と呼んでいたそうですが、いつの間にか冨着(ふちゃく)と呼ぶようになったのだとか。

ファミリーマート石川東山店

①あがりやま
②あずまやま
③ひがしやま

答えはこちら▼
正解は「①あがりやま」。
清水寺が有名な京都の東山(ひがしやま)と同じ漢字ですが、読み方は異なります。お気づきの方もいるかと思いますが、沖縄の方言で東西南北を表すと、東(あがり)・西(いり)・南(ふぇー)・北(にし)となることから、この読み方となっています。

まとめ

沖縄ならではの苗字&地名、みなさんはいくつ読めましたか?

沖縄には「南風里(はえざと)」「東風平(こちんだ)」「勢理客(じっちゃく)」…などなど、さらに珍しい地名や苗字が盛りだくさん!それぞれの由来も諸説あるので、この機会に自分の苗字や生まれ育った地名のルーツを調べてみてもいいかもしれません。

沖縄県内をドライブする際やお出かけの際は、今回ご紹介した珍しい名前のファミリーマート店舗も探してみてください!
今回クイズ形式でご紹介した5店舗を含めた難読12店舗をマップにまとめています!ぜひご覧ください!



<参考文献等>
国立公文書館国立公文書館デジタルアーカイブ日本経済新聞日本姓氏語源辞典名字由来net