「城=グスク」それは、沖縄という土地に深く根ざし、その遺跡は沖縄全域に大小様々な形で300以上存在しているといいます。その中には、世界遺産登録された首里城などの有名グスク以外にも個性豊かなグスクが残されているのです。
グスクを巡りに巡る合間でファミマに寄って、グスク旅に興じる「沖縄グスク紀行」第2回のスタートです!
南城市の「グスクロード」
「万里の長城in沖縄」と称されるテミグラグスクを堪能したあとは、一路、南城市の「グスクロード」へ向かいます。もちろんグスクロードへ足を踏み入れる前に、ファミマに寄ります。
ファミリーマート具志頭向陽高校前店(八重瀬町字長毛 379番3の1) 取材日:2019年4月9日
コチラは「具志頭向陽高校前店」。
那覇市街地からずいぶん移動して来ました。沖縄ファミリーマートではウチナーンチュに親しまれているさんぴん茶がもちろん常備。グスクが盛んにつくられてきた琉球王国の頃から愛されていたというこのお茶でしっかり水分補給しましょう。というわけで「香りふわり さんぴん茶」を購入。お得な600ml入りで沖縄伝統の味をお得に補給します。
※掲載情報は2019日4月9日現在のものです
ところで、ここまで、いくつかグスクを巡って来た中でひとつ気付いたことがありました。それは…
「虫に刺されそう…」
ということ。公園として整備されているグスクならば問題は無いのですが、若干のワイルドさをたくわえたグスクの場合、ヤブの中を分け入って進みます。新緑の季節を間近にひかえた沖縄においては伸びてきた草木をかきわけて石垣や拝所を見つけていく事になるのです。
そんな、ちょっとした冒険感がグスク巡りの魅力ではあるのですが、いかんせん
「虫に刺されそう…」
というか「もう、少し刺されている。虫に、すでに…」
と感じたので虫除けスプレーの必要性を強く感じました。なので、みなさんは是非とも虫除けスプレーのご用意をお忘れなく。
グスクロードに向かう途中のバス停もグスク感出してきてます
グスクロード公園にある展望台もグスク感出ています
「グスクロード」に点在する様々なグスクを一気にどうぞ!
糸数グスク(南城市玉城糸数)
あおぎ見るような高さまで石が積まれ、また波打つような石垣の曲線が美しいです。
敷地内はかなり広く、一面に琉球石灰岩で作られた石垣を見つけることが出来ます。
岩場を越えていくシチュエーションも多いですので、グスク巡りの際はしっかりとしたソールのスニーカーを履いていく事をオススメします。
ミントングスク(南城市玉城百名)
なんと個人のお宅の敷地内にあります!所有者の方におことわりをして、入り口にあるポストに管理運営費を寄付をした上で見せていただきましょう。
見学時間についてもご迷惑のかからないように常識の範囲で配慮をしてください。それにしても、こういう形で今も守られている沖縄におけるグスクという存在の大きさに驚かされます。
垣花グスク(南城市玉城垣花)
さながらジャングルのような鬱蒼とした森。複雑に根を張った熱帯樹と、枝々をわたって張られたクモの巣をかき分けて進みます。
まとまった城壁を確認することはむずかしいですが、奥には拝所を見つけることが出来ました。
まだ陽の高い時刻にもかかわらず森の中に踏み入ると感じられる静けさや薄暗さが神秘的で、まさに“聖なる森”。
東御廻り(あがりうまーい)とグスク
さあ、いよいよ!グスクロードの大トリは玉城グスク(南城市玉城玉城)です。玉城グスクは道路に面した場所にあり駐車スペースも完備され、登りのアプローチには階段が整備されていますのでグスク初心者には大変優しいです。
さらに根っからのグスク好き!ではない人にとってもオススメできるのが玉城グスクの城門。岩をくりぬいた、この城門の形が「ハート型」をしていることからインスタ映えスポットとなっているそうです。
確かにハートと言われればハートに見えないことも..ない!
私にはアフリカ大陸の形に見えました! いずれにしても撮影SPOT!心の眼で見よう!
また、このハートをカップルで手をつなぎながらくぐると、その2人は結ばれると言われています。その真偽を推し測るデータは、ちょっと今手元にないのですが、是非みなさんお試しください。
城門をくぐって内側から見てもしっかりとした石垣を堪能できます。さらに、この高さから見晴らしの良い景色をのぞむことも出来ます。
そして、城内の拝所ではお祈りをされている2人の女性と出会いました。
「東回りで14ヶ所回ってきたんです。旧正月開けから始めて順々に。アガリウマーイと言うんですよ」
東御廻り(あがりうまーい)とは、「ニライカナイ=理想郷」からやって来て琉球を創造した神様「アマミキヨ」ゆかりの霊地を巡拝していく行事。14ヶ所の聖地には、さきほど訪れたミントングスクと玉城グスクも含まれています。
「先祖の名前と、ココから来ましたよーと住所や家族構成を読み上げていって、ありがとうございました、を言いながら今年1年もよろしくお願いします、と。子どもたちのこともお願いします。1ヶ所20分くらいかな。毎年まわってますよ」
お供え物の意味も伺うことが出来ました。
お米とお金は、豊年満作を。果物のバナナは父親、男。ミカンやリンゴは母親、女。塩やお酒は清めとして。そして独特なのはウチャヌクと呼ばれる3段重ねにしたお餅。
「この大中小は、天地人でもあるし陰陽人でもあります。この『中』は「人」ですよ。オギャーと産まれたら光を見ますよね。そして地に戻っていきます。上が陽で、下が陰で、中が人。プラスマイナス(陽陰)で電気つきますよね。ソコに、挟まれて子供が産まれるわけですよ。中がグヮンス=先祖なんですよ。人であり仏なんです」
「若い方でグスクを回られる人も多いです。それはずっと残っていますよ。(沖縄の人々にとって神様は)ソコから教わるものを子孫に伝えたり、こうした方がイイんじゃないですか?っていう道しるべだったり」
実はお話をうかがったお2人の内お1人は、ユタ=神様と人をつなぐ存在 でらしたそうで…
「すべて、あなたの考えていることは見透かされていますよ(笑)」
とインタビューの最後に言われてしまいました!ただ、まったく悪意はございません!
沖縄の誇る健康、長寿、癒やしといった特性の根本にあるのは、古来よりウチナーンチュが先祖を敬い自然に感謝をささげる伝統行事を大切に守ってきたこと。お2人にはグスクが持つ「祈りの場所」という側面が今もしっかり息づいていることを教えてもらいました。貴重なお話ありがとうございました。
2回にわたってお送りしてきました『沖縄グスク紀行』いかがだったでしょうか?
世界遺産に認定された観光名所とは一味違ったグスクを巡る楽しさが、少しはお伝えできたのではないでしょうか。
今回ご紹介したスポット以外にも沖縄にはまだまだ魅力あふれるグスクがたくさんあります。
ちょっとした冒険気分と大いなる想像力、神聖な場所に足を踏み入れるルールとマナー、そして虫除けスプレー(必携!)を持って、途中途中ファミマで水分・栄養補給しながら、アナタなりの『沖縄グスク紀行』に出かけてみてください!
取材日:2019年4月9日
取材・撮影・記事:山本真己