県内各大学の学生が、開発した商品で販売実績を競う「学P沖縄リーグ2017」。
通常、3か月~半年以上掛かる沖縄ファミリーマートの商品開発を、約1か月間というタイトなスケジュールで駆け抜けた各チームの商品開発。知恵を絞りに絞った商品開発会議最終日&緊張と興奮の、沖縄ファミリーマート社員へのプレゼンテーションの模様を一気にお届けします!
泣いても笑ってもこれが最後の開発会議!
商品開発最終日。会議の前には「小売業」についての講義を受けました。
「デパート」「スーパー」「コンビニ」それぞれの業態でお客様のニーズやマーケティング方法が異なる話で、より業界を多面的に理解した様子の学生たちは「コンビニに向いた商品開発とは何なのか」を改めて見直し、やる気をみなぎらせます!
商品開発最終日の目標は、「最終のコンセプトシートの作成」「販促ラベル・パッケージの決定」「プレゼン内容の確認」の3点です。
各チームは、ここで商品の方向性を完全に決定させなければなりません。商品開発が回を追うごとに調整はより細かくなっていきます。各食材をグラム単位で見直したサンプルを試食し、外装はこれで良いのかなど、意見を出し合います。
出来栄えの最終確認に余念なく、パッケージはこれで良いのかと意見を出し合ったり、ギリギリまで使用するタレを試行錯誤するチームがあったり!後悔のないプロジェクトにするため、最後の最後までもがき続けます!
さあ、残すはプレゼンテーション!沖縄ファミリーマート社員にも共感させることができるのか!?各陣営どのような手を打ってくるのか…ますますこの盛り上がりから目が離せません!!
お待たせしました…各大学が今年ドロップする商品はこれだ!情熱の集大成をご覧あれ!
作り上げられた商品は、どのような狙いから生まれたコンセプトであるのか。購買ターゲットや、売れ筋の根拠となりうる市場背景はどうなのか。最もこだわったポイントは、などなど…。
開発ストーリーと商品の魅力を、個性溢れる方法でプレゼンしてもらいました!
前日、商品開発会議を終えた直後のチームメンバーからのコメントも併せてお届けします!
怒涛のプレゼン。スタートです!!
沖縄国際大学
開発商品:クレープでつつむ紅いもパイフィーユ〜ザクッと食感!!〜
価格:240円
商品ターゲット:30代男性
時間帯:間食時・夕方
「メインとなる素材の風味を、食感や香ばしさに負けないよういかに出していくかがテーマでした。グラム単位で調整して味のバランスを試していった結果、理想に近いものが出来上がりました。自信はバッチリです!さらに近付けていきます!」と前日、平良大空リーダーが語ってくれていた、沖縄国際大学。
素材の柱となる紅いもをいかに活かした商品であるか、また、紅いもがなぜ沖縄を元気にするのかを様々な角度から捉えたプレゼンが魅力的でした。
・コンセプトについて
「『沖縄県産品の紅いもを使った商品で、経済と県民を元気にする』という想いで開発しました。生活習慣病が全国と比べて多い沖縄県民。活性酵素の働きを抑制するといわれるポリフェノールが含まれている紅いもと、ファミリーマートの人気商品ティラミスをベースに、疲れた人たちを元気にするスイーツです。クレープで包み、片手で食べられるなど手軽感もアップ。同時にクリームが溢れないような工夫も凝らされています」
・こだわりポイント
「差別化を図るために、生クリームではなくティラミスクリームを使用。加えて、紅いもクリームの2種類をクレープで包んでいます。配合のバランスは特にこだわりました。中身にパイ生地を入れて、香ばしさとサクサクとした食感を楽しんでもらいます」
沖縄キリスト教学院大学
開発商品:もっちり!ざっくり!きなこdeしゅー
価格:150円
商品ターゲット:20代~30代の女性
時間帯:お昼・夕方
「女性向けに開発したので、食べきりサイズとしてちょうど良い量にすることと、商品ネーミングにこだわりました。味の決め手となる2つの素材の配合には時間を掛けて進めていきました。価格もコンセプトも反映できた仕上がりで、かなりの自信ですよ!」と、前日、幸地優花サブリーダーが語ってくれていた、沖縄キリスト教学院大学。
プレゼンの最中にこだわりの“もちソース”について、クイズを出題するなどの工夫で楽しい時間に仕上げてくれました!使用食材についてより詳しく紹介していました。
・コンセプトについて
「幅広い年代層から人気のあるモチとシュークリームを合わせることで、誰からも愛されるような商品を開発しようと思いました。和と洋のミックス・食感・サイズ感をより大切にしました」
・こだわりポイント
「きなこホイップ、きなこカスタードのソースは、2016モンドセレクションを受賞した、“とろけるきなこ”という粒子が細かいきなこを使用しています。もちもちっとした舌触りのもちソースと、砕いた白ゴマクッキーをクリームと混ぜることにより食感を楽しめます」
沖縄女子短期大学
開発商品:オムカレーおむすび
価格:160円
商品ターゲット:10代~20代の男女
時間帯:12時~13時頃
「最終開発の時点で、製造工場の方がいくつものパターンを作ってくれました。本当に感謝と感激でいっぱいです!前回の開発終了時点では、ギリギリのコストだったのに、今回はコストも抑えて具材の量も増えたんです!メンバー全員で客観的な味の評価もできましたし、製造工場の方の的確なアドバイスも頂きました。負けるわけにはいきません!」と、前日、池原里奈リーダーが語ってくれていた、沖縄女子短期大学。
商品の具材の構造とこだわり、なぜこれが美味しく仕上がったのか、という部分をイラストを用いて分かりやすく説明してくれました。
・コンセプトについて
「『辛さで気分をリフレッシュ、幅広い年齢から愛される』をコンセプトに、『日々の生活にスパイスを』をテーマにしました。幅広い年齢層に愛されているカレーとオムライスを組み合わせたら人気商品になるのではないかと思い開発に至りました」
・こだわりポイント
「カレーソースは0.1g単位で調整し、多くの人が食べられるバランスの良い味付けにしています。カレースパイスではなくピリ辛の島唐辛子を使用することで沖縄感も大事にしています。食感は福神漬けのカリカリっとした感じと、チキンライスの鶏肉のゴロっとした部分がポイントです。食べた満足感もあるように通常おにぎり80gのところを100gに設定しました」
沖縄県立芸術大学
開発商品:シーサンクリームのもっちりパン
価格:125円
商品ターゲット:女子高生~20代女性
時間帯:15時以降に間食として
「当初、2つの商品を企画していて、そこから1つに絞る時にチームの意見が分かれました。理想に近づけようとするとコストが掛かる、でも実現させたい…その狭間が悩みどころでしたが、納得の仕上がりです!さらに詰めていきます!」と、前日、上地春菜さんが語ってくれていた、沖縄県立芸術大学。
さすがは独創的な才能が揃う芸術大!まるで紙芝居のように、自作のアニメーションで企画・制作の過程を面白く表現していました。
・コンセプトについて
「チームメンバーが全員女性ということで、甘いもので女性を元気にしようというのがコンセプトです。シークヮーサーを食べやすい形で提供し、特産品に親しんで欲しいという狙いがあります。
アンケートを取り集計した結果、もっちり食感のパンが人気があることを知り、同時に
『値段』と『食べ応え』に消費者ニーズがあることが分かりました。実際に製造工場に見学に行き、製造ラインによるコストの違いを学び、商品開発に活かしました」
・こだわりポイント
「パッケージデザインは爽やかでかわいらしくシークヮーサーを表現し、カスタードとホイップのなめらかさ・口当たりの良さを表現した波を描いています。パンのイラストのブラウンの部分は透明にしていて、パンのこんがりとした表面が透けるような仕掛けになっています。パッケージの裏にはtwitterのリンクも記載しています」
琉球大学
開発商品:エッグベネディク丼
価格:398円
商品ターゲット:10代後半~30代の女性
時間帯:昼食時
「コスト面もすんなり調整できて、最終的にはイメージ以上のものが出来上がりました!総合的には最初の軸となるコンセプト決定が大変でした。ターゲットやネーミングなどに特に頭をひねりました。」と、前日、伊波衿奈リーダーが語ってくれていた、琉球大学。
冒頭に目次の紹介をし、体系的に理解しやすい工夫がなされていました。ポイントを強調する際に、芝居を取り入れたプレゼンもインパクト満点でした。
・コンセプトについて
「インスタグラムで、#カフェ #カフェ巡り #カフェ好き、などのハッシュタグが多いことと、平成28年度の市場調査データでカフェへの消費支出が増加傾向にあることから、商品コンセプトを『カフェ気分をコンビニで』にしました。さらに市場を調査した結果、エッグベネディクトは人気ではあるがまだ定番ではないので、目新しさを狙ってベースにすることにしました」
・こだわりポイント
「彩りを豊かにし、写真映えが出て、女性に好まれる見た目にしました。通常、エッグベネディクトはイングリッシュマフィンを使用していますが、食べ応えのあるお米を使用し、洋風×和風で食べ応えのあるものにしました。この商品は見た目も味も大事にしたい、欲張りな女性たちの味方です」
名桜大学
開発商品:トリくら弁当
価格:450円
商品ターゲット:30代~50代の男性
時間帯:ランチタイム
「働き盛りの男性を満足させるような弁当を開発したのですが、既視感が出ないように差別化を図るのが大変でした。タレの種類はオリジナリティを出し、全体の色合いや配置にもかなりこだわりました。期間は短かったですが、メンバーや製造工場の方から意見やアイデアが多く出てやりやすかったです。イメージにかなり近いものができました!」と、前日、大戸量平リーダーが語ってくれていた、名桜大学。
とにかく、勝ちに行くための商品開発を行った、という名桜大学のメンバー。過去の学Pをしっかりと分析したのち辿り着いた商品プレゼンでした。
・コンセプトについて
「過去の学Pの1位は、ガッツリ系のお弁当が獲得する傾向にあること、また、コンビニ利用者層は30代男性が多い、とのことから、働き盛りの男性が満足できるようなものに方向性が決まった。」
・こだわりポイント
「鶏の3種類の調理法で、食べ比べができます。
まずは115gもある圧倒的な肉のボリューム感です。そこに味のバリエーションを付けるために『ペッパータルタル』『和風オニオン』『アラビアータ』の3種類のソースとカレールーを採用したのですが、ここまで絞るのに30種類もの中から試食を重ねました。味だけでなく、表面を肉が覆うインパクトと色合いにもこだわったのもポイントです」
沖縄大学
開発商品:牛と豚と鶏プル丼
価格:498円
商品ターゲット:部活動をしている10代の学生、20代~40代
時間帯:お昼、夜
「私たちのチーム、コンセプトやターゲットが定まらず、最初の会議の時点で出遅れていたんです…。焦りもありましたが、男性目線の商品開発に方向変換していったらトントン拍子に開発が進んでいきました。最高の形になりました。現在の自己評価は103%です!(笑)」と、前日、宜保裕優リーダーが語ってくれていた、沖縄大学。
学P沖縄リーグ2017のテーマである「沖縄元気生活応援団」。元気になるには肉を食べよう!とのことで、肉の栄養素部分にまで及んだプレゼンは「肉愛」すら感じました。
・コンセプトについて
「ネーミングでも分かるように3種類の肉が入っているということです。これまでこのような弁当は市場にはありませんでした。『肉をドーンと食べて元気になろう』が商品開発のベースです。たんぱく質は筋肉の疲労回復効果、ビタミンB6はたんぱく質の代謝に関係してくると言われています。しかもワンコインで買える価格設計しにてます。」
・こだわりポイント
「3種類の肉と野菜を交互に配置しました。これは肉の種類の区別が付くことと、味に飽きが来ないようにするためです。味のベースはビビンバを参考にし、もやしとほうれん草はナムル風に、ニンジンは茹でで鮮やかな色にしました。商品ラベルは右上の部分に貼るに留め、中身をより広く見せることを意識しました。四角い器を採用しているのお、視覚的にボリューム感を演出しています」
気になったあのチームに、質問タイム!
無事にプレゼンを終え、安堵の表情を浮かべる各チームのメンバーたち。それぞれの発表で気になった点の質疑応答の時間です。マーケティングの観点から鋭い質問が上がってきました。
琉球大伊波さん→沖縄大(牛と豚と鶏プル丼)
Q「販売目標が初週が7個で2週目が8個とありますが、その根拠は何ですか?」
A「リピートが期待できる商品だからです」
沖縄国際大上地さん→沖縄県立芸術大(シーサンもっちりパン)
Q「アンケートはどこで、どの層から取ったものか」
A「アンケートアプリを活用してターゲット層である20代女性から取った。その他、自分たちの周囲からも結果を取った」
沖縄大新井さん→沖縄国際大(クレープでつつむ紅いもパイフィーユ〜ザクッと食感!!〜)
Q「ターゲットが30代男性とのことですが、スイーツといえば女性のイメージがあるがなぜこのターゲット層にしたのか?」
A「スイーツ購入比率は、データ上男性の方が実は多い。そこを考えて開発しました」
沖縄県立芸術大上原さん→名桜大学(トリくら弁当)
Q「最初からソースを掛けたのはなぜか?」
A「別容器にするとコストが掛かるのと、ソース別売りにしたら売り上げに反映されないためです」
Q「混ざることは想定していますか?
A「混ざっても問題ない味付けになっています」
沖縄キリスト教学院大→沖縄女子短期大(オムカレーおむすび)
Q「商品説明の時に大豆のチキンとありましたが、具体的にどんなチキンですか?」
A「大豆のチキンではなくて、ダイスのチキンです(笑)滑舌わるくてすいません」
最後のこの質問では、質問者と回答者がお互いニコやかに会釈をしていました(笑)
ライバルチームの出来栄えはいかに?一斉に試食タイムへ!
今度は、今回開発された7つの商品の試食タイムへと移ります。
ここで初めて、他大学の商品を食べることになるのですが…その味はどうなのか。
自分たちの脅威となる商品はあるのか、または、自分たちの商品が他のチームの脅威となりうるのか!?そのあたりも気にしつつ、みなさん試食していきます。
「芸大のシーサンクリームのもっちりパンはクセになる!」「キリ学のもっちり!ざっくり!きなこdeしゅーのもちソースが美味しい!もう買いたい!」「沖女のオムカレ—のカレーソースにパンチがあった!」などの声が上がるなどし、脅威よりも美味しい感動の方が上回り牙が取れてしまいました!
商品開発を終え、広告戦略へ突入!
製造工場担当者の小浜さん「短い期間でしたが、みなさんと過ごして、改めて商品開発の基本を勉強させてもらいました。学生のみなさん、本当に苦労したんだなぁという努力が感じられました。プレゼンも素晴らしかったです。今後も社会に出た時に、学Pでの取り組みを思い出して頑張って下さい」
次回からは、いよいよメディア戦略!手塩にかけて産み育てて来た商品を、今度はどのように「魅せる」のか。テレビCM・ラジオCMの企画と制作へとステージが進んでいきます!
いよいよ10/10(火)より投票開始!
学P沖縄リーグ 2017
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