2017.05.24

「ファミリマートがスタートアップのサービスを導入したら?」 沖縄をスマートにする「Cloud ON OKINAWA」に行ってきた!


こんにちは、ライターの水澤です。沖縄にある大型スーパーで増えている、店員がいなくとも買い物ができる無人化サービス。もう、利用したことがある方も多いですよね。

2017年4月に、経済産業省はファミリーマートを含むコンビニ大手5社が2025年までにICタグを使ったセルフレジを全店舗に導入していくことを発表。IT技術を使って、人の手を介さずにどんどん便利になっていく社会、と同時に「機械で会計する」ことに戸惑うかたも。

ただ、私は一消費者として「スマホで、ピッと簡単決済が増えたらな……」と想像をしてみたり。ということで今回は、4月18日に行われた沖縄地方創生プロジェクト「Cloud ON OKINAWA」にお邪魔して、地方とITの可能性についてうかがってきました。

沖縄県でクレジットカードが使えない、という課題からはじまった「Cloud ON OKINAWA」

Cloud ON OKINAWAとは
KDDIウェブコミュニケーションズ(以下、KWC)が地方の課題をIT技術で解決していくためにスタートしたプロジェクト。現在、沖縄セルラー電話、CAMPFIRE、KDDIウェブコミュニケーションズ、Square、freee、BASE、ライフイズテック、ラクスル、Ryukyufrogsの9社と糸満市、沖縄市、竹富町、宮古島市の3市1町が参画を決めています。

(KDDIウェブコミュニケーションズ代表取締役社長の山崎雅人さん)

KWCの山崎代表取締役社長は、本プロジェクトを通して沖縄から日本を変えていく取り組みにしたいと、これからの展望を交えながら話します。

「日本企業のうち99パーセントは、中小企業や個人事業主が占めており、人材雇用も70パーセントが中小企業で行なっている。一方で、中小企業の一番の課題は人材不足が挙げられ、2013年から何ら変わりません。
さらに、ITサービスの導入後の効果が見えづらいことで、販路拡大の障害になっている。そのため、沖縄県から中小企業向けのIT化を推し進めることで、これらの課題を解決していく」(山崎)

(KDDIウェブコミュニケーションズ代表取締役副社長の高畑哲平さん)

続いて、プロジェクト発足のきっかけを語ってくれたのは、KWCの高畑代表取締役副社長

「那覇のお店で、一杯の沖縄そばをいただきました。そのとき、中国観光客と会計が一緒になりまして、旅行者は現金が持ち合わせてなく、クレジットカードで支払いたいと。残念ながら、カードが使えないお店でした。
有数の観光地でさえクレジット決済ができない、タクシーはカード支払いもダメ、さらにお店のWEBサイトを持っていない状況が続いている。地域が抱える問題を解決してくれるクラウド関連のリーディングカンパニーに声をかけました」(高畑)

(※上記すべてのサービスでクレジットカードが使えない、ということではございません。また、対応している事業者等もございます。)

お店で支払いを行う際にクレジット決済ができずに困ったこと、私たちにもありますよね。さらに、ネットショッピングをしたくても、個人事業主のお店だと銀行振込しか対応しなかったり。

「商売の障壁のまま、『難しそうだし、諦めていた』という地方の課題をテクノロジーで解決すること。そして、若者向けにプログラミング学習や次世代リーダープログラムを通して人材教育を行なっていきたい」と高畑さんが思いを綴ります。

サービスの具体的な活用例などは、
「Cloud ON OKINAWA」のwebサイトでもご確認いただけます。

地方の中小企業こそ、自立した力を身につけてほしい

Cloud ON OKINAWAのこうした取り組みは、一切に税金を使わずに事業を推進する方針です。その背景として、本プロジェクトは大人たちの教育促進も担っていると高畑さんは表情に力を込めて話します。

「私たちのサービス、提携企業のサービスと活用して、島と島を繋ぐような事例を増やしていきたいと思います。実際に、宮古島市のフリーペーパー『宮古島BBcom』と西表島大原に住むテレワーカー数人が連携して、当社のクラウド関連サービス『Jimdo』でWebサイトを作成する事例が生まれました。
自分たちでお問い合わせができる問題意識が高いかたは、プロジェクトがなくても、事業を伸ばしていくだけの力があります。一方で、そこまでタッチできない20、30代の若者も地方にはいますから、フリーペーパーといった地元企業と連携して認知に努めたいと思います」(高畑)

 「ファミリマートが導入してみたら……」こんなにも商売は変わる?

さて、ここまで「横文字が多くてわからない」とお悩みのかたへ。

ここからは、「もしも、沖縄ファミリーマートが、参画した企業のサービスを導入したら?」をお届けします。「僕なら私なら、どのように活用しようか」と想像しながらご覧ください。

BASEの場合

(BASE株式会社 取締役COOの進 浩人さん)

ネットショップの作成がスマホからも簡単に行える「BASE」。初期費用・月額費用0円で開設でき、4つの決済(クレジットカード・銀行振込・コンビニ・後払い)から選べます。全国には30万店舗以上あり、沖縄は全国2番目に利用者が多いそうです。

BLACK泡盛コーヒー300(沖縄限定) 258円

 

沖縄ファミリマートの限定商品「泡盛コーヒー」、みなさんはご存じですよね。コーヒーならではの苦味と泡盛がマッチすると旅行者にも注目されている商品です。

たとえば沖縄ファミリマートとして、BASEを使ってネットショップをオープン。泡盛コーヒーを販売したらどうだろう? BASEには、配送サービスがあるため県外にもお届け可能です。地域に1つ、沖縄ファミリーマート専用のネットショップがあるとうれしいですね。

CAMPFIREの場合

(株式会社CAMPFIREの代表取締役社長家入 一真さん)

CAMPFIREとは、個人や団体のアイディア・商品開発などの資金をインターネット上で集めるクラウドファンディングサービスです。

現在は、「CAMPFIRE×LOCAL」として地域パートナーを全国35エリアで設立。沖縄だと沖縄市にあるスタートアップカフェコザと2016年11月から提携されています。


ファミマップで店舗一覧を見る

沖縄県内には、318店舗(石垣島、宮古島含む)のファミリーマートがありますが、古宇利島や伊計島など店舗がないところはまだまだあります。

たとえばCAMPFIREとファミリーマートが共同して、島にも店舗をオープンするプロジェクトを立ち上げてみるのはどうだろう?クラウドファンディングは、出資金への「お返し」としてリターン品を用意できますが、「出資金1,000円:ファミチキ10本」なら、老若男女喜んでくれる……はず?

ラクスルの場合

(ラクスル株式会社 取締役CMOの田部 正樹さん)

沖縄のテレビコマーシャルでもおなじみのラクスル。「A4チラシがフルカラー印刷1枚1.1円〜」を実現したネット印刷サービスです。なぜ、ここまで安いかというと自社の印刷工場を持たずに、全国にある提携した印刷工場の空き稼動を利用するシャアリングエコノミーを行なっているためです。

今夏、沖縄の豊崎美らSUNビーチで行われる「AKB48 49thシングル選抜総選挙」。
沖縄ファミリーマートも創立30周年記念事業として特別協賛、各チケットの販売を行っています。

たとえば、ラクスルのサービスを使い、イベントのチケットを印刷しつつ、イベント関連のチラシはポスティングサービスを活用して配布していくのはどうでしょう!?
(※ポスティングサービスは4月現在、那覇市の全域、浦添市・豊見城・南風原の一部が対象地域となっています。)

…と、妄想はつきませんが、沖縄の中小企業・個人事業主さんが「どんなサービスを知っているか」ではなく、「どんなサービスを事業に落とし込めるのか」を考え、実現できれば、日本中の企業に対してロールモデルとして広がっていくかもしれないプロジェクトだと感じました。

Cloud ON OKINAWA」へのお問い合わせは公式サイトへ。
https://www.cloudon.okinawa