※編集部追記(2022/09/28)情報を追記・編集しました。
沖縄の大切な伝統行事のひとつ、清明祭(シーミー)。 最近は大人数で集まることが難しくなってきていますが、こんな時だからこそ丁寧にご先祖様と語り合いたいですよね。
それでは、旧暦行事が色濃く残る沖縄南部の漁師町で暮らす濱比嘉珠子(はまひが たまこ)が、おばぁと共に清明祭(シーミー)の準備や拝み方、昔から残る拝みのグイス(拝み言葉)などをお伝えしていきます。
どうぞ、よろしくお願いいたします♪
目次
清明祭(シーミー)とは
沖縄の年中行事でも一大行事と言われる「清明祭(シーミー)」は、沖縄に今も伝わる墓前祭です。
沖縄では十六日祭と清明祭(シーミー)と2つの大きな墓前祭が有名ですが、特に沖縄県内でも中部や南部地域では、お墓参りと言えば「清明祭(シーミー)」ではないでしょうか。
ちなみに、宮古や石垣などの先島、沖縄本島北部などでは十六日祭を盛大に行い、お墓参りといえば「十六日祭」というところも多いようです。
同じ沖縄でも、地域によってそれぞれ文化が少しずつ違うから面白いですね。
また、現在使われているお墓へ参る前に、門中(ムンチュウ※)や一族にゆかりのあるアジ墓(その昔の代のお墓など)をお参りする「神御清明祭(カミウシーミー)」を執り行う家もあります。
※沖縄における、父方の血族で繋がる一族の事
清明祭(シーミー)の節気。2024年はいつ?
「清明祭」と書くように、シーミーは「清明」の節気に行うとされています。
2024年の清明の節気は、4月4日(木)~4月18日(木)の穀雨(こくう)の節気が始まる前日までの15日間。この時期に清明祭(シーミー)を済ませるのがおススメです。
ただし、この一年で親族が亡くなっている場合には、清明祭(シーミー)はお祭り行事に値するので、その年は行いません。代わりに旧暦一月十六日の十六日(ジュウルクニチー)にお墓参りを行うのが習わしです。
また、地域によって違いは大きいのですが、三年忌までは新仏と同居していた家族のみでお墓参りを行う家が多く見受けられます。
清明祭(シーミー)で必要なもの
それでは!清明祭(シーミー)を迎える準備です♪
沖縄の年中行事で用意するお供え物(ウサギムン)は、重箱(ジューバク)料理(※)がメインですが、お供養用とお祝い用の2種類がありますよね。
お供養用はもち重(ムチジュー)も白もちのみ、お祝い用はよもぎもちと交互で並べたりしますが、お墓参りでありながら清明祭は墓前祭でお祝い事なので、重箱(ジューバク)料理もお祝い用を準備してください。
※重箱料理は「ジューバク」と言ったり、「ウサンミ(御三味)」と言ったりしますが、どちらも同じお供え物です♪
清明祭(シーミー)の準備
基本のウチャトゥ(お茶)・ミジトゥ(水)・ウサク(お酒)の他には、下記のようなものを準備してシーミーへ行きます。
(1)重箱料理(ジューバク・ウサンミ)を、もち重2箱+おかず重2箱の4箱
・ムチジュー(もち重)は3個×3列(9個)か5個×5列(25個)の奇数個を詰めます。お祝い用なので、紅餅やよもぎ餅、なかにあんこが入っているお餅もOKです。
・おかず重箱は5品・7品・9品、いずれか奇数品目をきれいな賽の目に詰めていきます。お祝いなので、昆布は結び昆布、ターンム(田芋)料理もOK!赤かまぼこで、豚の三枚肉は皮を下に詰めてください。
(2)果物の盛り合わせ
(3)お菓子の盛り合わせ
(4)カビバーチ(火鉢)
・ウチカビを炙る時に使うもので、金属ボールに水を張り、月桃などの葉を沈めたり、ネギの輪切りを浮かべたりします。お墓に銭蔵(ジングラ)がある家は必要ありません。
(5)ウチカビ(打ち紙)、ヒラウコー(平線香)、シルカビ
・ウチカビとヒラウコーをご準備ください。 シルカビは半紙を四つ折りに手で千切った後、さらに半分に折り曲げれば完成です♪
(6)ウチジヘーシ(お初を返す)用の入れ替えおかず
・ヒジャイガミ(左神)様へ拝んだ後、ウチジヘーシ(お初を返す)として、重箱料理からおかずをお皿に取り分けて供えますが、続く墓前の拝みで供える前に、ヒジャイガミ様へ供えた時に空いた穴を、新しいおかずで埋めるので、その分のおかずを用意してください♪
(7)供え花(左右一対のお花)
(1)の重箱料理の基本は4箱のチュクン(ひと組)ですが、それは昔は一族皆が入る大きなお墓が多かったためでもあります。
最近では個人墓が主流だった沖縄にも霊園が増え始め、家族単位のお墓も増えましたから、集まる人数も少なくなってきました。
ですから、集まる人数に合わせたカタシー(片方)の2箱(おかず重1箱・もち重1箱)でシーミーを行う家族も増えています。
清明祭(シーミー)の拝み方
いよいよ清明祭(シーミー)に出掛けるのですが、その日の朝はヒヌカンとお仏壇がお家にあれば、お仏壇にも「これからシーミーへ行きますよ、安全に無難に執り行うことができますように」とご挨拶をしてから出掛けてください。
それでは清明祭(シーミー)当日、お墓に着いてからの拝み方と流れをお伝えします。
清明祭(シーミー)当日の流れ①:ヒジャイガミ様への拝み
沖縄のお墓には、墓地を守ってくださるヒジャイガミ(左神)様がいます。向かって右側がヒジャイガミ様の鎮座する場所ですので、コチラでまずご挨拶をしてください。
(1)ヒジャイガミ様へのお供え物
・重箱はカタシー(片方)のみの、おかず重・もち重をそれぞれ1箱ずつ、向かって左側がおかず重箱、右側がもち重になるようにして並べます。
・ウサク(お酒)を供えてください。
・ヒラウコー(平線香)はタヒラ(2片)ですが、半紙を四つ切りに千切ってさらに半分に折った「シルカビ(白紙)」の上に、火を灯さない「ヒジュルウコー(冷たい線香)」として供えます。
(2)重箱料理のなかから、それぞれ1品~2品を重箱より出してひっくり返して上に乗せ、御馳走を差し出します。
(3)ムートゥーヤー(宗家・お仏壇がある家)を中心にして、ご挨拶です。※ご挨拶のグイス(拝み言葉)は後ほどお伝えします。
(4)シルカビを燃やしてお酒で消してください。
このようにしてヒジャイガミ様へのご挨拶を済ませたら、(2)でひっくり返して乗せていた御馳走を皿へ取り分け(ウハチ=お初)をヒジャイガミ様へ供えなおし(ウチジヘーシ)、重箱は一度引き取って、タッパーなどに予め準備をしていたおかずから継ぎ足します。
ですから墓前での拝みの前には、最初のように重箱のおかずが埋まっている状態です。
では、墓前への拝みへと移ります。
清明祭(シーミー)当日の流れ②:墓前の拝み
(1)墓前でのお供え物
重箱はチュクン(1組)の、おかず重・もち重それぞれ2箱ずつを供えてください。
向かって左から、おかず重箱・もち重箱・おかず重箱・もち重箱、の供え方が多いです。
※墓前や仏壇など、ご先祖様へご馳走を供える場合には、お箸も添えます。今回も重箱の上にお箸を添えてください。人数が分かればその人数を、一族であれば複数本を添えます。
ここで、親族がそれぞれに持ち寄ったお菓子やおかずも供えます。この時、ムートゥーヤーのお供え物はウチカビを5枚、その他親族は3枚ずつ、お供え物に添えてください。
(2)ムートゥーヤーを中心にして、墓前での拝みを捧げます。(グイスは後ほどお伝えします。)
ヒラウコーはムートゥーヤーがタヒラの2片(日本線香では12本)、その他の親族は半分に割った半ヒラ(日本線香では3本)を拝してください。
(3)ウチカビを炙り(燃やし)ます(カビアンジ=紙炙り)。
最初にムートゥーヤーから燃やし、続いて集まった親族が燃やしていきますが、ムートゥーヤーはウチカビ5枚、その他親族は3枚を燃やす方法が多いです。
(4)ウハチケーシ(お初返し)
お供え物は最初に食べていただきましょう♪集まった人々それぞれが、自分が供えたお供え物から数品を、ウチカビを燃やした後のカビバーチ(火鉢)やジンクラ(銭蔵)の上に乗せてください。これでご先祖様の元へ届きます。
(5)ウサンデー
墓前で集まった人々皆で、ヒジャイガミ様やご先祖様とともに楽しいお食事です♪
以上がシーミーの一連の拝み方ですが、ヒラウコーを拝したりウチカビを燃やす時には、「○○家の○○からです」などとご先祖様に伝えてから燃やします。
清明祭(シーミー)当日に参加できなかった人がいた家では、代理にその人の分を家族が拝しても良いですし、それぞれの家族の家長が一家まとめてタヒラ(2片)を拝することもあるので、この辺りは臨機応変に進めてください。
便利!沖縄ファミマの重箱&もち、お菓子
昔から清明祭(シーミー)は門中や一族が集まる一大年中行事だったため、おばぁを中心にして、みんなで重箱料理を用意したり、それぞれがお供え物を持ち寄って盛大に行ってきました。
けれども最近では個人墓地も少なくなりつつあり、家族単位で入る家族墓や夫婦墓も増えてきたため、清明祭(シーミー)も家族単位のものが増えてきましたよね。
人数が少ない分、一人に掛かる負担は大きくなりますし、チュクン(おかず重2箱・もち重2箱)にお菓子、果物と用意をしても、そんなに食べきれないのでもったいない気もします。
そんな今、ぜひ頼りにしたいのが沖縄ファミマの重箱料理です!
沖縄ファミリーマートでは従来の重箱の他、少ない人数用の小さい重箱ラインナップもあるのが嬉しいポイントです。
全島に広がるコンビニなので、気軽に予約→受け取りができるのも助かりますよね。さらに、お菓子や果物、お惣菜(オードブル)なども一緒に頼むことができます。
それぞれの家族に合わせたピッタリの重箱を選ぶことができますし、重箱料理が苦手なお子様にも楽しむことができる、オードブルもいいですね♪
墓前ではウサンデーとして、集まった皆でご先祖様とご馳走を楽しみますが、ここでの飲み物などは持ち帰らない、と言うのが本来の習わしです。
…とは言え、今ではお供え物が多くて持ち帰ることが多いのですが、水やお茶などはそこで済ませてから帰ることをおすすめします。
そのためにも、適度な量を楽しむことができる小さな重箱料理などは助かりますね!
家に帰ったら、ヒヌカン→お仏壇へと無事に清明祭(シーミー)を済ませたことをご報告してください。
沖縄ファミマの清明祭 ご注文方法
ご注文方法は2つあります。
①ファミペイWEB予約
ウェブ予約はこちらから
②店頭予約
(1)選ぶ
お好きな商品をカタログからお選びください。
(2)予約する
お近くのファミリーマート(沖縄県内)にて【商品名】【ご希望お渡し日】をお申し付けください。
※ご予約と引き換えに【予約承り票】(お客様控え)をお渡しいたします。大切に保管してください。
(3)受け取る
ご指定日に【予約承り票】(お客様控え)をご持参いただき、お申込店でお会計の上、お受け取りください。
試してみよう、拝み言葉
清明祭(シーミー)の日には、朝のヒヌカン(火の神)様への拝み言葉、お仏壇への拝み言葉から始まり、お墓に着いた後の掃除前の拝み言葉に続き、清明祭(シーミー)前のヒジャイガミ様への拝み言葉、最後に墓前でご先祖様への拝み言葉の5つのグイス(拝み言葉)があります。
ここでは墓前でご先祖様へと繋ぐグイス(拝み言葉)をお伝えしますので、今年はどうぞ、唱えてみてはいかがでしょうか。
【墓前で唱えるグイス(拝み言葉)】
ウートゥートゥー ウヤフジガナシー
(あな尊き御先祖様)
チューヤ クワンマガ ムルスルティ シーミーウサギーガァ チュウイビィン
(今日は、子孫みんな一緒にシーミーをしようと来ています)
ムル ウミヌイームン・アギヌイームン、マグクル ウサギチィイビングトゥー ウキトゥイジュラサァ ウタビリスーチー、ジョウブツシ ウタビリスーリィ
(みんな 海の恵み・土地の恵み、心込めて供えておりますので、受け取ってくださり、成仏してください)
マタムル、カラタケンコー ニンマサイ サカイハンジョウシミティ クミスーリー
(またみんな、体は健康、年々繁盛していきますように)
ウートゥートゥー
(尊いなぁ)