沖縄県内7大学の学生たちが、オリジナル商品の企画・開発・販売戦略まで全ての工程を担う「学P沖縄リーグ」。「新・うちなーグルメ」をテーマに、約4か月間に渡って熾烈な争いが繰り広げられました。
それぞれのメンバーが真剣に向き合い切った今、あとは結果を待つのみ。ベスト学P賞はどの大学に!?そして彼らは何を得たのか…
逞しくなった表情で迎えた結果発表と閉講式の様子をお届けします!
開講式の始まりは、沖縄ファミリーマート平良良勝常務の労いの挨拶から。
「今年は農業大学校が参入するなど新しい風も吹きましたが、本当に強い風の台風が直撃する困難がありました。しかし、実際の現場でもいろんな障壁が出てきますので、今回は本当の意味での実践型のインターンシップになったのではないかと思います。一つの商品に丁寧に取り組んでいる姿を見て、我々も毎年学んでいます。参加した皆さんがこれから社会で活躍することを願っています」
(沖縄ファミリーマート・平良良勝常務)
学Pの4か月間で得た成長を発表
学Pにおいて、参加した大学生は「商品開発~マーケティング~販売」を実際の業界水準で取り組んできました。最後の総仕上げとして、チームの自己評価をデータに基づいて行うなど、振り返りの発表を行いました。学生のコメントともにダイジェストでご覧ください。
名桜大学|琉球咖喱(RyukyuCurry)
年代別・性別の購買データによると、30代以降を見ると女性の割合が64.1%という結果になりました。
程よい内容量や彩りの良さが女性に受け入れられたと考えています。
ターゲット層に合わせて、那覇エリアに力を入れた店頭販売やSNSを意識した戦略を立てれば、より良い結果が得られたのではないかなと思っています。
実際に商品が並んで売れた時の感動、味やパッケージデザインの評価を受けた喜びは忘れません。
普段はマーケティングを専攻しているメンバーですが、理論だけでなく実践ができたのは大きい学びになりました。
琉球大学|たるたるちきちき
沖縄県民の需要を汲み取った“売れる商品開発”を行いました。
「思った以上にボリュームがあった」「揚げ物なのにさっぱり」などの感想を頂き、ギャップのあるコンセプト設定で差別化ができたと思います。過去の売り上げデータを分析し、ターゲットや売上数が想定通りの結果が出たのが嬉しかったです。
プレゼンの際に劇で印象を残せたのは、このチームらしさが出ていたのではないかなぁと手ごたえを感じています。 販売を通して分かったことは、ターゲットは30~40代男性でしたが、実際には40~50代女性が多く購入してくれたことでした。 店頭販売では、一度お店を出た人が戻って来て商品を買ってくれたことがメンバー一同の感動体験となりました。
沖縄大学|あっ!うむさん
多くの人が関わる開発では、意思疎通や意見交換など、コミュニケーションを取る大切さを痛感しました。開発後の店頭販売で商品を手に取ってくれたお客様を見た時は、喜びと自信に繋がりました。
ターゲット層にしていた40代が最も購買してくださり、コンセプト通りの結果になりました。 オリジナルキャラクターのうむさんは、かわいいといった良い反応をもらうことができ上手くいったと思います。感謝の気持ちがたくさん生まれる、宝物となる経験ができました。
沖縄女子短期大学|カメーカメーTランチ
タコライス×Aランチをテーマにボリューム感を出すことにこだわりました。一方で、高カロリーになりすぎないようにソイミートを使用するなどバランスにも配慮しました。
Tシャツ・上り旗・ボードを作るなどして、販促も強化。ターゲットにしていた30~40代男性が購買の大きな割合を占め、人気が偏る結果になりましたが、売上1,000万円を超えることができました!
失敗から学んで改善していくこと、チームで役割を補い合ったことが良い数字に結び付きました。
沖縄国際大学|紅芋と黒糖が恋したキューティーパイ
20~30代の女性・朝の時間帯をターゲットとして想定していましたが、実際は14時以降・40代女性の購入が最も多い結果となりました。
SNSでは毎日ツイート、エゴサーチで積極的に返信をし、なるべくリアルタイムで情報を出すよう意識しました。多くの方に商品写真をSNSに載せてもらうこともできました。
店頭では、パイのイメージから、デザートコーナーにあると認識されてしまったが、「パンコーナーにある」というPOPを製作して対応し、臨機応変さが求められました。
商品開発には、多くの人の熱意が詰まっていて、かつ論理に基づいているということを学びました。
沖縄キリスト教学院大学|シュー拝なびら
20代~30代の男女がターゲットだったが、40代~50代の女性が主な購買層だったのは意外な結果でした。
店頭販売では、浦添高校前店で販売しましたが、学校のテスト期間と重なり、狙っていた肝心の学生が全然いなかったこと。プラスりうぼう泉崎店での販売の日は那覇大綱挽で客足が芳しくなかったなど、リサーチ不足を痛感しました。
しかしそれを跳ね除け、メンバーの配置を店内・店外の2つの陣営に分けてPRをする、特にプラスりうぼう泉崎店は単価が高いので4個セットを作るなどの工夫をして完売に繋げることができました。
プロデュースした商品が世に出回ると経験が出来たのは代えがたい喜びです。
沖縄県立農業大学校|かんだばーおむすび
台風17号の猛威に遭ってしまい、カンダバーが収穫不能になり販売延期になってしまいました。
不安なスタートを迎え、店頭販売でも積極的に声掛けができなかったという反省点がありましたが、販売個数・売上額ともになんと目標の6倍も売り上げることができました!
地元北部での店頭販売時には、地元の方からたくさんの応援の声や複数個買って頂きました。
農大祭では、元祖カンダバーおむすびとして販売したいと思います!学Pが終わったあともカンダバーを沖縄の伝統野菜として広めていきたいです。
ベスト学P賞はこの大学だ!!
各大学やり抜きました!人事を尽くして天命を待つ…
販売金額・販売数量・WEB投票数・商品プレゼンなど各項目を採点した総合点でベスト学P賞が決定されます。結果は果たして…!
まずは、部門賞「販売数量部門」から発表です。
3位…沖縄県立農業大学校
2位…沖縄国際大学
1位…琉球大学
次に、「販売金額部門」です。
3位…沖縄国際大学
2位…琉球大学
1位…沖縄女子短期大学
名桜大学・沖縄キリスト教学院大学・沖縄大学は敢闘賞「敢闘賞」を受賞しました。
名桜大学
沖縄キリスト教学院大学
沖縄大学
そして、栄光のベスト学P賞に輝いたのは…
琉球大学!!
数量1位、販売金額2位のほか、WEB投票でも1位を獲得。プレゼンでも評価が高く、最高賞に輝きました!
「高校生の頃から夢だった学Pにリーダーとして参加できて、まさか目標の優勝まで掴むことができて感無量です。素敵なメンバーにも支えてもらいました。一生忘れません、ありがとうございました。」
(津波リーダー)
号泣しながら挨拶。本当に頑張ったんですね。この涙はとても美しいです!
沖縄ファミリーマート側からも学生たちに向けてメッセージが贈られました。
「最初に “みなさんの財産になる商品を作って下さい” と話しましたが、それ以上に今回の経験が一番の財産になったのではないかと思います。本当にお疲れ様でした、そしてありがとうございました!」
(杉田行次取締役管理本部長)
「企業側にとっても有意義なイベントでした。原点に立ち返ることができる、毎年楽しみなインターンシップです。このWIN-WINの関係を後輩たちにも託していきながらたまには商品に対するモニター意見も言って頂きながら(笑)これからも楽しくコミュニケーションを取っていきましょう。」
(小林健祐商品部部長)
学Pを終えた充実感の中、リーダーインタビュー
沖縄大学
ずっと忙しかったけど、商品が並んだ時はその苦労が帳消しになるくらいの感動がありました。
ほうれんそう(報告・連絡・相談)を密に取ることが社会人に必要だと知ることができました。
私たちはまだ1年生なので、またチャンスがあれば挑戦したいです。
(砂川沙奈リーダー)
名桜大学
学P賞は獲れなかったが、貴重な経験になりました。
メンバー全員経営専攻なのですが、理論を実践で学べたのは良かった。
ターゲット通り、女性に支持されたのは想定通りで上手くいきました。
(平良晃将リーダー)
キリスト教学院大学
率直な感想は、悔しいです!
リーダーという立場は人生で初めてだったので、メンバーをどうまとめていくかを特に頑張りました。
商品開発会議では個性がぶつかってまとめるのが大変だったが、一番成長につながった過程だと思います。
(島袋桃香リーダー)
沖縄女子短期大学
売上金額部門1位で、本当に嬉しいです!
学P賞も正直ちょっと期待していましたが、目標である入賞は達成できました!
琉球大の津波さんが泣いていましたが、実は私もこっそり結果発表の時に泣いていまして…
終えた感動と、もっと出来たんじゃないかといういろんな思いが込み上げていました。
(比嘉にいなリーダー)
沖縄国際大学
数量・金額共にベスト3に入れたのは自分たちでも驚きの結果でした。
1人で焦った部分も途中あったのですが、皆の協力のおかげで不安は無かったです。社会人の基準で取り組めたのは非常に成長になりました。チームのメンバーにはここまで連れてってくれてありがとうって伝えたいです!
(濱元かな子リーダー)
農業大学校
台風は来てしまったらしょうがないなぁと割り切るしかなかったのですが、
カンダバーの生育サイクルが早いので1か月で原状復帰できました。使い勝手が良い食材だということが知れた点は収穫です。
販売延期で商品の存在が忘れられないか不安でしたが、納得の結果を出せて嬉しいです。それにしてもみなさんSNS強いですね!僕らは男だらけでそのへんの戦略は分が悪かったです!
(大城文也リーダー)
琉球大学
自分が人前で泣くなんて思っていなかったです!普段はこんな性格じゃないのに!
結果を聞いた瞬間、走馬灯のようにこれまでのことが思い出されてきて…
高校生の時から学Pに憧れていました。商業高校出身で商品開発に興味があって、学Pに出場するために私は大学に進学したんです。
最高の結果と共に大学生活の目標が達成できて、しばらくは学Pロスになりそうです。
高校生の時の私には、努力は裏切らない!と伝えたいです。今日はとても良い日です。
(津波ももこリーダー)
みなさんお疲れ様でした!懇親会で乾杯~
これまでは良きライバルとして凌ぎを削ったメンバーでしたが、戦いが終わるとノーサイド。 今年の学Pのテーマである「新・うちな~グルメ!!」の元、沖縄を盛り上げた同じ仲間として祝杯を上げます。
お世話になった皆さんに、似顔絵入りの寄せ書きをプレゼント。
毎回学Pに携わっている、沖縄ファミリーマート商品部の稲福さん(写真中央)は、今年の学生たちの頑張りをこう語りました。
「今年は例年以上に取り組む姿勢が素晴らしかった! 学Pも歴史を重ねてきたので、『小さい頃からテレビで見ていました』とか『学Pを担当しているゼミを選んで入りました』という学生が結構いました。今回で特に感心したのがSNSの活用です。社員からはなかなか出て来ないようなアプローチをしていた。勉強になりました。売上も全体的に高くて、どの大学もハイレベル。こっちの気が引き締まりました。まだハッキリとは言えませんが、いくつかの商品を定番化しようと検討しています」
今回で13回を数えた学P。歴代の参加者の頑張りが積み重なり、沖縄にもすっかり根付いてきました。 学生発の定番商品が生まれるとなると、夢がありますよね~!
終わりは、始まり。
一段と逞しくなった学生たちは、これからもこの経験を胸に、近い将来社会に翔ばたいていきます。
そして、今年も読者のみなさんを始め、学Pを応援してくれた全ての皆様に感謝の気持ちを伝えたいと思います。
笑顔と感動、最後は涙まで込み上げて来た閉講式。各チーム全員が駆け抜けた納得のフィナーレで、今年の学Pも大団円です!
結果の詳細は公式サイトで!「学P 2019公式webサイト」
取材・記事:ナガハマヒロキ
写真:佐久本健太朗