沖縄ファミマROOKIES【第三回】完結編となる今回は店舗での研修を活かしグループ会社である「デパートリウボウ」にて、コンビニとはスタイルの違う“百貨店の接客”を学ぶことを目的としています。5日間にわたって行われた研修の最終日に密着しました。
- 藤野美樹さん
ふじの・みき
同期の存在は…
「良きライバルであり、頼もしい存在」
- 野甫宇恭さん
のほ・うきょう
同期の存在は…
「支えです」
- 佐渡山瑠乃さん
さどやま・るの
同期の存在は…
「支えてくれる存在です」
- 上地達貴さん
うえち・たつき
同期の存在は…
「切磋琢磨しながら成長していける」
- 安村誠也さん
やすむら・せいや
同期の存在は…
「共に高めあえる存在」
- 瑞慶覧友也さん
ずけらん・ゆうや
同期の存在は…
「成長するために必要な仲間」
研修の最初に作成するネームプレートも研修の一環。お客さんに自分をどう売るかを模索するため、あえて色や書き方は自由
研修の目的は「百貨店での接客を学び、コンビニに活かす」
「デパートリウボウ」での研修は、日替わりで与えられるミッションに取り組みつつ、研修の最後にプレゼンを行います。日々様々な目線で接客業を学びながら、プレゼン力を高めることが目的です。
今回研修を担当するのは、株式会社リウボウホールディングス人事部で教育専任マネージャーを務める宮里紀子さん。長年接客業に携わってきた経験から、今回の研修で百貨店の接客スタイルを学び、コンビニに帰った時の接客に取り入れて欲しいと話します。
宮里さん「百貨店で接客する人のほとんどが、仕入れから販売までを一括して行っています。社長の掲げる理念として、百貨店人・コンビニ人と、形を決めてしまうのではなく『小売のプロであれ』という想いがあるので、ここで小売りの基礎を学んでもらい、コンビニ経営に活かしてもらえればと思います」
この日のミッションは
「いいサービスとは」
「百貨店に求められるもの」
それらをテーマに研修を行うべく、各フロアにメンバーが振り分けられます。
デパートリウボウでは、フロアによってそれぞれ特徴が異なります。6階は職人さんがこだわって作る商品が並ぶ食器売り場。安村さんと瑞慶覧さんは、並んでいる商品の価格が高い理由や職人さんのこだわりなどを学び、目利き力をつけるという目的に挑みます。
高級品を割ってしまわないよう、丁寧にほこりを取る瑞慶覧さん。掃除を行いながら、商品の知識を教わるのも研修の一環
6階フロアの担当者から、商品の説明を受ける安村さん。見るもの全てが初めてで興味津々!
2階は比較的若い年齢層のお客様が多いフロア。百貨店に訪れる若いお客様とのコミュニケーションを模索します。佐渡山さんと上地さんは、ファッション雑貨、コスメ販売店を担当。
手際よく商品を並べる佐渡山さん。コンビニと同じように並べ方や配色などを調整するのもポイントのひとつ。お客様の目線の動き方を考えながら配置を決めていきます
大量の商品を倉庫に運ぶ上地さん。重そう・・
1階フロアは、デパートリウボウ内の顔となる場所。外国のお客様も多いこのフロアでは、どんなお客様が何にどう反応するかを見る絶好の機会になります。こちらでは藤野さんと野甫さんがそれぞれ別々の銘店売場にて包装の練習を行いました。包装はクオリティとスピードの両方が求められる難しい作業。コンビニでは丁寧に包装するという機会がないため、2人とも真剣な顔つきで包装を行っていました。
上達が早く、「センスがある」と褒められていた藤野さん
真剣な顔で包装を行う野甫さん。意外と難しい、と困惑してる?
コンビニとは違い、百貨店の商品は一見魅力が分かりづらいもの。お客様はコミュニケーションを通じて初めて商品の魅力を知ることとなるため、商品知識は必要不可欠。商品に込められたストーリーやこだわりを学び、感動することで初めて『モノの価値』を実感することができるのです。
宮里さん「研修で身に着けて欲しいスキルは2種類あります。ひとつは『価値を理解し提案すること』。まずは商品知識をつけ、自身がその価値を知って提案できるレベルになることが大事です。
もうひとつは『伝える力をつけること』。いくら商品知識をつけても、目の前のお客様が求める情報を伝えられなければ、ただ知識をひけらかすだけで終わってしまいます。そうではなく、お客様の求める情報を会話の中でつかみ、自らの商品知識の多くの引き出しから選定し、簡潔にお伝えすること。
お客様が一言『いいですね』『高いね』と言ったとして、その言葉はどの発想や想いから来ているのか探る努力を惜しんではいけません。『この商品の良さが、目の前のお客様にとってどんな価値を示してくれるのか』を相手に合わせて伝えられることが大事なんです」
研修での気づきを発表!グループディスカッション開始
「いいサービスってなんだろう?」
をテーマに
①デパートリウボウがお客様に「最高の買い物体験」を感じて頂き、支持を頂くためには何が必要でしょうか?
②デパートの業務や要素を取り入れ、自らの業務の中でどんな「おもてなしサービス」ができるでしょうか?
この2つの観点でまとめていきます。
それぞれ「ソフト面」(人やサービスなど形のないもの)と「ハード面」(設備や環境など)双方の側面でレポートを提出するのが今回の課題。役割分担を決め、話し合いから発表まで定められた時間の中で取り組む研修の集大成、グループディスカッションのスタートです!
こちらのグループは、タイムキーパーと進行役は安村さん、書記は上地さん、発表役には野甫さんという役割分担。
グループ名は「1ねん5くみ」。それぞれ別々の学校で「1年5組」の経験がある3人が、今日初めて合わさり、共同作業を行う”という意思が由来です
メンバーの意見をひとつひとつ丁寧に拾う安村さんの進行のもと、内容は早々に決まりました。各々が役割をパキッと分けてこなしていく姿が印象的。
絵を描くのが得意な上地さんが、驚くべきスピードで、まとまった内容を図式化していきます。発表役の野甫さんも「まとめるのは、彼にまかせておけば安心です!」と厚い信頼を寄せます
そしてもうひとつのグループは、藤野さん(発表役)、瑞慶覧さん(書記)佐渡山さん(タイムキーパーと進行役)の3人。
グループ名は「脱!!無関心」。リウボウで学んだ接客スタイルを、自分たちの店舗でも活かせるようにと、命名
瑞慶覧さんが文字を書き、藤野さんが下書きを消し、佐渡山さんがイラストを描くという連携プレイ。全ての役割に対して、全員が積極的に関わっていく姿が印象的。
発表係である藤野さんは、全体感を見ながら各所で声掛けし、スポーツでいう監督のような役割を担っていました。全体を把握しようする真剣な眼差しからは、リーダーシップを感じることができました
各グループの発表がスタート!
時間終了!
最初の発表は「1ねん5くみ」グループ。
めちゃくちゃファミマ愛を感じるレポートに仕上がっています
作成時からマネジメント力を発揮していた野甫さんが発表を開始
議題①
デパートリウボウがお客様に「最高の買い物体験」を感じて頂き、支持を頂くためには何が必要でしょうか?
野甫さん「ソフト面では、接客からワクワクさせる技術が必要だと感じました。各フロアの特色がより伝わるような映像を用いた看板を設置したり、接客においては、コチラの提案から、お客様が実際に商品を使う時の想像ができるように。
そしてハード面では、珈琲のイベントなど体験できるものや、入った瞬間に感じる匂いでのアプローチ、興味が湧くようなフロア紹介を提案したいと思いました」
議題②
デパートの業務や要素を取り入れ、自らの業務の中でどんな「おもてなしサービス」ができるでしょうか?
野甫さん「ソフト面では、コンビニでありながら、おもてなしはデパートのようにお客様に寄り添う接客を取り入れたいと思いました。
ハード面では、ラグジュアリーなコンビニを提案したいと思います!敷居は低くて入りやすいけど、商品はラグジュアリーで洗練されたものが並んでいる、というイメージです。高級感のある照明で、購買意欲を高めたり。規模は小さくてもデパートのような物産展をコンビニで展開するのも面白いと思います」
発表の途中、「ここは安村さんの意見です!」など、発案者を立てることも忘れない野甫さん。メンバーのそれぞれのアイディア力・デザイン力・プレゼン能力を活かした発表となりました。
つづいて「脱!!無関心」グループ。
議題①
デパートリウボウがお客様に「最高の買い物体験」を感じて頂き、支持を頂くためには何が必要でしょうか?
藤野さん「ここでの研修で一番最初にいいなと感じたのが『テスターが通路側にある』ということです。通路側に置くことで、店舗に入らずとも商品に触れやすくした工夫は、素晴らしいと思いました。
スタッフ全員がマネキンになる!というアイデアも出ました。メイクは隣の店の商品、アクセサリーは3階の商品など、デパートリウボウ内の商品を身に着け、売り場に誘導するようなプレートを付けると、相乗効果で全体の販促に繋がると思いました。
ハード面では、“匂いの力”が印象的に残りました。“ここ美味しそう”と感じさせるクッキーの匂いなど、魅力的なサービスになる事に気付かされました」
藤野さんの発表!レポート用紙を四分割で線引きし、ソフト面とハード面を分かりやすく見せています
議題②
デパートの業務や要素を取り入れ、自らの業務の中でどんな「おもてなしサービス」ができるでしょうか?
藤野さん「ソフト面では、百貨店の母の日などのように、タイミングに合わせたトレンド商品をいち早く商品化したいと思いました。コンビニにおいてはイートインコーナーを活用できると思います。
ハード面では、商品によってはあえて余裕をもった陳列で綺麗に見せる工夫が大事だと思いました。それから、ファミマとリウボウのコラボ珈琲はどうでしょうか?お客様から投票をつのって、美味しさを競ったり、楽しめる提案も行いたいです」
発表が終わったタイミングで、野甫さんから質問がありました。
野甫さん「トレンドの商品を入れたいとのことでしたが、トレンドはどのようにすればどこよりも早くキャッチできると思いますか?」
藤野さん「どの客層をターゲットにするかにもよるのですが、例えば若者ならSNSなどを活用してキャッチしたいと思います」
質問に回答した後、藤野さんが「ご指摘、ありがとうございます」と感謝を伝えた姿が印象的でした。質問されることで、案が具体的になったり思考がブラッシュアップされる機会になる。それを感じ、しっかり感謝を伝えられる姿からは、藤野さんの向上心を感じました。
研修の主旨とそれぞれの成長
それぞれの発表が終わり、今回研修を担当した宮里さんに改めてお話を伺いました。
宮里さん「今までは店舗を終え、実務に入って数か月後に百貨店へ、という研修の流れだったのですが、今回から続けて行う形に変更しました。実店舗にも慣れていない中、自分の業務とは関係のない研修を行うのは大変だったと思いますし、それをどう捉えるのか不安でした。けれど本人たちはとても前向きに、素直に取り組んでくれたので嬉しかったです」
学校ではなく成果を出すために研修があるので、持ち帰ってもらわなければ意味がない。そのため、研修スタート時に『疲れたり集中できなくなったら教えてください』と声をかけていたのだそう。
「グループ会社であることのメリットを活かして、どこに行っても活躍できるようになって欲しい」
宮里さん「皆さん研修の主旨を理解してくれて、何を学び、何を持ちかえればいいかを理解し、まっすぐに取り組んでくれたので、とてもやりやすかったです。これからリウボウグループを引っ張っていってくれる頼もしい人材だなと思いました。そして私自身も刺激を貰うことができました。百貨店にずっといると、百貨店基準で考えてしまいがちなのですが、若手のフラットな接客が好まれるシーンもあったりと、私も勉強させていただきました」
ルーキーズたちに聞く。百貨店研修を終えた感想
安村さん「研修を通して、コンビニとは違った接客の近さや百貨店の持つブランド力の凄さを実感しました。コンビニは何を買うか決めて訪れるお客様が多いのに対し、百貨店は見て、聞いて決めるお客様が多く、知識をつけることの大切さを学びました。コンビニに戻っても、知識があれば見せ方やポップの作り方などを工夫できると思うので、研修で得たことをコンビニでも活かしていきたいと思いました」
瑞慶覧さん「コンビニと百貨店の違いだけじゃなく、敬語の使い方やマナーを教えてもらえたので、とてもいい経験になりました。店舗研修では、研修を通して物の価値を知る機会になりました。高級品は理由があって高いんだと、説明を聞いて奥深さを知ることができました。今まで食器に興味を持ったことがなかったのですが、江戸切子が欲しくなりました(笑)」
佐渡山さん「正直、最初は“なんでファミマに入りたくて入ったのに百貨店で研修なんだ”と思ってしまいました。研修初日に、妹に電話して弱音を吐いてしまった時に『色んな世界を見せてくれてるんだよ。頑張れ』と背中を押してくれて、よし頑張ろう!と切り替えることができました。そしたら、コンビニには当たり前に使ったことがある商品が並んでいるけど、百貨店には聞かないと分からない素材やこだわりがあって、それを提案するのが楽しい!と思いました。最後は“やっぱり接客が好きだなぁ”と再確認する機会になりました!」
藤野さん「業態が全く違う接客が経験できたのは貴重でした。この研修がなければお客様にイチから商品の魅力を伝えるということは経験できなかったと思いますし、実務としての包装も、百貨店じゃないとまず経験できなかったことでした。昨日接客して初めて商品を売ることができたんですけど、商品の知識がないと物を売ることができない、ということを実感しました。それはコンビニに戻っても同じなので、商品知識をつける大事さは忘れずに持ち帰りたいと思いました。」
野甫さん「この5日間は、毎日新しいことや入ってくる知識が多すぎて、とにかく処理をするのが大変でした。それだけでも大変なのに、そこで得た情報うまく出すことの大事さや、商品を知らない人にアウトプットすることの難しさなどを学び、とても濃厚な時間だったと思います。コンビニには今、少しづつ高価な商品も増えてきているので、今後百貨店のような接客をする時が来るのかなと思いながら研修を受けました」
上地さん「正直、心身ともにすごく疲れました。今まで経験したことのない業務や座学、実習など、詰め詰めだったし新しいことが多くて疲労感は大きかったけど、この6人で支え合いながら、エールをもらうことでやれていたので、このメンバーがいてくれて良かったなぁと思いました。あと、商品を売ることの難しさを実感しました。いい物は接客で徐々に信頼関係を築きながら販売するんだなぁと。研修中にひとつ商品を売ることができて、売る喜びを感じることができたのも良かったです!」
最後は皆さん「研修を受けて良かった」と笑顔で話してくれました。この研修を通して更に仲が深まっているルーキーたちを見て、仲間と試練を乗り越えることの楽しさと素晴らしさを感じました。
3度の研修で、どんどん成長を見せた沖縄ファミマルーキーたち。これから未来の沖縄ファミリーマートを背負って活躍する姿が楽しみです。みなさん!お疲れ様でした!
取材・記事:三好優実
写真:前原利弘