沖縄にもようやく冬が訪れ、肌寒い日が多くなってきました。そんな寒い季節に旬を迎える食材といえば…?沖縄であれば、島人参やしぶい(冬瓜)をはじめとする根菜類などでしょうか。
県外出身の筆者にとって沖縄の冬の食材はあまりなじみがなく、スーパーマーケットに行って見ても、あまり季節感が感じられないような…。そんな沖縄にも、ついに「冬の味覚の王者」ともいえる魚の専門店が現れ、少しずつ話題を集めています。
その食材は「ふぐ」。沖縄に足を運んでくれる観光客をターゲットとして、沖縄でもふぐを扱うお店が増えてきました。その中でも特に増加傾向にある外国人観光客に、日本の美食であるふぐを堪能してもらおうと、その専門店も2016年後半からオープンしています。
その中でも今回は、2016年8月にオープンしたばかりのふぐ料理専門店「玄品(げんぴん)ふぐ」に伺ってきました。沖縄ではまだ浸透しているとはいえない食材であるふぐ、その美味しさや味わい方をレポートしたいと思います。お腹を空かしてぜひご覧になってみてください♪
国際通りの真ん中でリーズナブルにふぐを堪能!
玄品ふぐのある場所は、国際通りのほぼ中央。「シーサー・イン那覇」というホテルの地下1階にあります。国際通りを歩いていると、愛嬌のあるふぐの写真が目印の看板がちらりと見えますが、意識していないと通り過ぎてしまいそうなぐらいの控えめサイズな看板です。
ふぐ専門店と聞くともっと敷居が高くて高級な雰囲気をイメージしてしまいますが、意外にもカジュアルな印象。
しかし階段を下りていくにつれ、やはりふぐ専門店らしい雰囲気が漂い始めます。貫録を表すような、入口に据えられた木製の看板。
店内は広々。それぞれの席が壁やすだれで仕切られ、半個室に。プライベート感たっぷりなので、ゆっくりふぐの味わいを楽しめそうです。
ふぐは全て自社で養殖し熟成!圧倒的な価格と旨味を実現
「玄品ふぐ」は大阪に本社を構え、全国に100店舗を持つふぐ専門店です。こちらの会社は、何と自社でふぐの養殖場を持っているとのこと!徹底した管理のもと多くのふぐを育てているので、常に高品質のふぐを、リーズナブルな価格で提供することができるそうです。
さらに驚くべきこだわりがあります。ふぐの熟成技術を独自で開発し、特許を取得!通常、ふぐは3枚におろしてから2、3日冷蔵庫などで寝かせて熟成させ、その間にふぐの旨味が増すそうなのですが、この熟成期間の温度管理がとても大事。自社独自の熟成方法であれば、天然のふぐと同じぐらいの旨味成分が引き出せるそうです。
いざ実食!てっさからヒレ酒まで、ボリューム満点コースを頂きます。
さすがふぐの専門店、そのこだわりを学んだところで、いよいよ実食です。「醍醐」というコースをいただくことに。このコースは付き出し、てっさ(ふぐ刺し)、から揚げ、てっちり、雑炊、デザートと全部で6品付いて、値段は税込で5,724円。割烹や料理屋などで食べれば1万円は下らないふぐコース。居酒屋よりは確かに高い価格ですが、この値段はお値打ちと言えるでしょう。
まずは付き出しの湯引きから。
これは、ふぐの外皮をそぎ、ボイルして刻んだ料理。もみじおろしとネギ、自家製ポン酢とで和えて食べます。ふぐの外皮はコラーゲンが豊富で温かいと溶けてしまうので、ヒンヤリしているうちが食べ時。
コリコリとした歯ごたえが楽しく、噛むほどに旨味が口の中に広がります。
続いてはてっさ(ふぐ刺し)。
通常のふぐ刺しは、繊維質なふぐの肉質を断ち切るように薄く切られ、食べやすくしているのですが、玄品ふぐでは食感を楽しめるようにあえて厚めに切っています。それでもやはり、向こう側がうっすらと透けて見えるほど薄く、美しいてっさ。一切れごとに噛みごたえがあるので、しっかりと満足感を味わえます。このコリコリ感がたまりません…!!
そして唐揚げ。
こちらの唐揚げは「日本唐揚げ協会」が主催するからあげグランプリで最高金賞を受賞したこともある人気の一品。揚げることでふぐのぷりっとした食感が際立ち、香ばしさも相まって、きっと誰でも「おいしい!」と唸ってしまうほどの唐揚げです。淡泊なイメージとは裏腹に、しっかりとコクがありビールとの相性も抜群!
次の料理に進む前に、ふぐ料理店で欠かせない飲み物「ひれ酒」のご紹介。
ふぐのひれをあぶって熱燗に入れた、お酒好きにはたまらない飲み物です。こちらのお店では、目の前でバーナーであぶってくれるパフォーマンスが楽しめますよ。
ひれを入れたら蓋をして蒸らし、香りと味わいを日本酒に移すのですが、このひとあぶりの手間をかけるだけで日本酒が本当に美味しくなるから不思議!ふぐ料理との相性も抜群なので、足を運ばれた際はぜひお試しを。
アルコールが飲めない方におすすめなのが、こちらのドリンク。
何と、ふぐのコラーゲンゼリー入り!玄品ふぐオリジナルドリンクです。ふぐコラーゲンのゼリーは普通のゼリーよりも弾力のあり、飲みごたえ十分。翌日の肌の調子も楽しみなドリンクです。
いよいよお待ちかねのふぐ鍋「てっちり」の登場!
見てください、このつやつや、ぷりぷりのふぐの姿を!てっちりでは、主に3種類のふぐの部位を楽しめます。一つはお刺身と同じ身、二つ目は付き出しにも出ていた外皮、三つ目は身に近い部分の皮。それぞれで食感が異なるので、ぜひ違いを比べてみてくださいね。
ふぐは身離れが悪い魚なので、しっかり火を通してほぐしやすいように調理します。素人にはこの火の入れ加減が難いので、ここはプロにお任せを!お店の方が最初はていねいに調理してくれます。今日は店長の國場匠さんにお願いしました。
ぐつぐつ煮ている間にも、出汁とふぐの何ともいい匂いが立ち込めて…。待ちきれずに食べてしまいそうですが、ここはぐっとこらえて火が通るのを待ちましょう。
ついに完成です!たっぷりの薬味とポン酢でいただきましょう。
熱々のふぐをハフハフ言いながら食べるのが、てっちりの醍醐味。それぞれの部位が本当に全く異なる食感で、そのどれもが旨味がたっぷり。箸が止まりません!
絞めはもちろん、ふぐ雑炊できまり!
最後のお楽しみは、もちろんふぐ雑炊です!
スープにご飯を投入し、自家製の雑炊用醤油で軽く味を付けます。そして卵を溶き入れ、待つこと数分…。
ついに完成!ふぐと野菜の旨味がたっぷり溶け出したスープを吸った米は、問答無用の美味しさです。
食べる際には玄品ふぐオリジナルの「蘇生塩」や、雑炊用醤油をお好みで加えて。てっちりを食べたときのポン酢を加えても美味。トッピングに海苔も合います。全て食べ終える頃には、お腹がはちきれんばかりに一杯に。男性でも大満足間違いなしのボリュームです。一人1人前ではちょっと多いかな?と感じる場合は、1人前を複数名で食べることも可能とのことなので、気軽にオーダーできるのもうれしい限り。
コラーゲンたっぷり、旨味満点のふぐ料理の数々。冬の短い沖縄でも、十分堪能できます。お手軽に贅沢が味わえ、高い満足度は間違いなし。沖縄ではまだまだこれからの味覚を、ぜひ機会がありましたら堪能してみてくださいね。
取材協力:玄品ふぐ那覇國際通関の里
[住所]沖縄県那覇市牧志1-3-59シーサーイン那覇B1(MAP)
[電話]098-861-2788
[営業時間]17:00-23:00(LO22:00)
[定休日]なし
ライター:ワードワークス沖縄 仲濱淳
HP: http://okinawa-wordworks.jimdo.com/